11月 メッセージ

いつの間にか気温が下がり、すっかり季節は秋になりました。季節の移り変わりをじっくり感じる暇もなく、秋は深まり、園庭には、どんぐりやオリーブの実、畑のさつまいもも育ち、子どもたちを楽しませてくれています。行事の多かった10月は、天気予報を見ては、一喜一憂する日々でしたが、運動会では、子どもたちの伸びやかな姿を見ることができ、バザーでは沢山の家族の笑顔が見られ、懐かしい卒園児や保護者の方との再会もありました。卒園して1年生になった子が、雨天を心配してバザーの日のために、ティッシュ1箱分のてるてる坊主を作り、家中の壁に飾ったというエピソードを、聞かせてくださった方もいました。皆が楽しみにしていたこの日のために、沢山のご奉仕とお支えをいただいた保護者の皆さまに心から感謝いたします。

 1か月前に遡りますが、9月末NHKの朝ドラ「あんぱん」の放送が終わりました。帰宅して、寝る前に朝ドラを見るのが日課ですが、終わった時には、もう少しこの優しい世界観に浸りたいという思いが残りました。これを機に、やなせたかしさんのエッセイ集「ぼくと正義とアンパンマン」を読むことにしました。その中の「ひとはひとをよろこばせることが一番うれしい。ひとはみんな、よろこばせごっこをして生きています。」という言葉は印象的で、そうありたいものだと心に沁みました。一方で、厳しい言葉もありました。「大人社会を映した鏡が、子ども社会です。子どもは正直な鏡ですから、はっきり映してしまいます。(中略)おかしなことですが、いいことより悪いことを見習います。」この言葉には、日々子どもと接することの責任の重さを突き付けられた思いがしました。私たち大人も、時には振り返り、自分の足跡をたどり、見返すことが必要なのでしょう。心に温かさと厳しさを示してくれた、一冊の本との出会いでした。

 2学期に入って2か月、様々な行事を経験した子どもたちは周囲の友だちとの関係も、子ども同士での遊びも深まる時期を過ごしています。深まりゆく秋の中で自然の恵みに五感を通して“気づき”、もうすぐ始まる感謝祭の日々を通して、“神さまに感謝し、分かち合う喜び”を感じながら、今月も共に歩みたいと願っています。

                          (園長 済田 真美)

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