ようちえん
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7月メッセージ

6月のある朝、登園時間中に幼稚園の庭に1羽のカラスが入ってきました。カラスはどうやら飛べないらしく、両足を揃えてチョンチョン跳びながら年少の部屋に向かって来ます。慌てて駆け付けたものの、しばらくは子どもたちに近づけないように見守るしかできませんでした。そのカラスは巣立ちの時期で、まだうまく飛べずに園庭に降りてきてしまったようで、何とか上に上にと登ろうと壁に向かって何度も飛びついていました。上の方から親ガラスたちの羽をバタバタとばたつかせ、カアカアと激しく鳴く声が聞こえています。その騒ぎが気になって寄ってくる園児を部屋で過ごすように促して、子ガラスを静かに見守ることにしました。周囲が静かになると、親ガラスの声に導かれるように、子ガラスは園庭の木に向かって、チョンチョンと進み始めました。そしてブランコのそばの木に何度も飛びついて、やっとのことで木に登って行きました。(おんせんリーダー談)しばらくすると木の上の方までたどり着いたのか、親ガラスの声も聞こえなくなりました。その間の約1時間半、園庭はカラスの為に使えませんでしたが、その次第を先生から聞いて、「よかったね!」「ほっとした」と優しい言葉が聞こえたそうです。

私はこの時、子ガラスの生きようとするエネルギーに感動し、一方で何とか子どもを救おうと声をかけ続ける親ガラスの様子を自分の子育てと重ね合わせて見ていました。ある時期になると子どもは親の元を巣立っていきます。子どもたちが大人になった今、親にできるのは応援する事、待つ事、祈る事になってきています。私たち人間には、他の動物とは違って子育てにかける長い時間が与えられています。わが子の傍に寄り添う事ができるこの時期に、十分に関わり、いつか巣立っていく時に備えて、親として伝えるべきことを伝え、愛情をかけ、心に“安心”という栄養をたっぷりと蓄えてあげたいものですね。

だんだん暑くなってきました。移り行く季節を感じ、じっくりと遊びを深めながら一学期の終わりの時期を過ごしたいと思います。(園長 済田真美)

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